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日銀新体制、「危機再来」警戒 新副総裁が就任、政府と連携


クレディ・スイスの経営問題などを受けた金融システム不安が広がる20日、日銀の副総裁に内田真一、氷見野良三両氏が就任した。

来月9日には10年ぶりの総裁交代も控えており、新体制は「危機対応モード」での船出となる。世界的な金融危機再来の回避へ各国金融当局が対策を急ぐ中、日銀は政府とも連携して一段と警戒を強める考えだ。  両副総裁は自民党本部を訪問し、就任のあいさつ回りを行った。さらに日銀は20日、内田氏が務めていた企画担当理事の後任に清水誠一理事を起用する人事も発表。植田和男次期総裁体制への移行を着々と進めている。  一方、足元の金融市場では、米銀の破綻を契機に金融システムへの不安が顕在化。各国当局は2008年のリーマン・ショックのような深刻な危機に陥るのを防ぐため、スピーディーに対応している。クレディ・スイスを巡っては、スイス当局主導で同じスイスの金融大手UBSが救済買収で合意。日銀を含めた日米欧の6中央銀行は20日、市場の沈静化へ米ドルの資金供給拡充を決めた。

こうした動きを受け、日銀は国内金融市場について「今のところは問題ない」(幹部)との認識。金融庁の幹部も「当面の危機は回避できたのではないか」と話す。  ただ、金融界には「形を変えていろんなことが起きることを警戒しないといけない」(国内大手銀首脳)との見方がくすぶる。  スイスの金融当局は19日、クレディ・スイスが発行した通常の社債より資本性の高い劣後債について、価値をゼロにすると発表。一般的に株式よりリスクの低い劣後債の毀損(きそん)を受けて投資家が疑心暗鬼に陥れば、事業会社の資金調達にも支障が生じかねず、金融市場の不安が強まる恐れもある。別の大手銀幹部は「どこまで(危機が)波及するのか分からない」と、不安収束の判断は時期尚早との見方を示す。  20日の東京株式市場では日経平均株価が2万7000円を割り込むなど、金融システムへの不安が一掃されなかった。日銀は「市場が安定しなければさらに対応を拡充することもあり得る」としており、新体制はスタートから危機対応への手腕が問われている。

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