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電力大手に課徴金計1010億円=中部・中国・九州でカルテル―幹部関与、過去最高額・公取委



大手電力会社のカルテル問題で、公正取引委員会は30日、独禁法違反(不当な取引制限)で中国電力(広島市)や中部電力(名古屋市)、九州電力(福岡市)など4社に計約1010億円の課徴金納付を命じた。違反行為を自主申告して処分を免れた関西電力も含め、各社の幹部が競争を制限する行為に関与し、料金値下げなどが期待された電力自由化が損なわれたと判断した。


 課徴金額は過去最高で、各社の経営に影響を与えるのは確実だ。中国電は同日、滝本夏彦社長が6月に退任すると発表した。一方、中部電は公取委命令を不服として、取り消し訴訟を起こすと明らかにした。


 公取委によると、課徴金額はカルテルを結んだ範囲が広かった中国電が約707億円と最も多く、中部電と子会社の中部電力ミライズが計約275億円、九電が約27億円。再発防止を求める排除措置命令の対象となったのは、中国電と中部電力ミライズ、九電と子会社九電みらいエナジーの4社となった。 


 中国、中部、九州の電力3社は遅くとも2018年10~11月以降、自社の利益を確保するため、関電との間で自由化前の互いの営業エリアでの安値競争を避け、法人向け電気料金などを維持、上昇させたとされる。


 中国電と関電によるカルテルは、両社営業部門の当時の部長らが合意。大規模工場やオフィスビルが利用する「特別高圧」と、中小規模工場などの「高圧」大口・小口の取引、官公庁の入札を対象とした。


 同様に、当時の中部電専務と関電常務は特別高圧と高圧大口でカルテルを結ぶことで合意。九電常務と関電副社長は官公庁入札で安値競争をしないよう取り決めたという。

 関電が20年10月、課徴金減免制度に基づき、公取委に違反を申告したことでカルテルは終了。九電は公取委の立ち入り検査が入った21年7月以降に申告し、課徴金が減額された。


 また、公取委は各社が電気事業連合会で構築した関係を利用して違反に関わったことがうかがわれるとし、電事連会長に同様の行為をさせないよう申し入れた。

 中部電は「訴訟で当社の考え方を説明し、司法の公正な判断を求める」と主張し、中国電は「取り消し訴訟の提起も視野に入れつつ、慎重に対応を検討する」とコメント。一方、九電は「命令を厳粛に受け止め、今後の対応を慎重に検討する」と説明した。

[時事通信社]

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